血圧の薬は夜飲んだ方が良い!?
皆さんは、薬をいつ飲んでいますか?
薬を飲むことが朝の食後のルーチンになっている人も多いのではないでしょうか。
多くの薬はいつ飲んでも効果はあまり変わりませんが、血圧の薬に関しては朝よりも夜に飲んだ方がいいかもしれません。
なぜ血圧の薬を夜に飲んだ方がいいのか、最新の研究を基に解説していきます。
寝ている間の血圧が大事
人間の血圧は、1日の間に変動します。特に寝ている間には、血圧が10〜15%程度下がることが知られています。
この夜間血圧が下がることを”Dipping”と呼びます。ちゃんと寝ている間の血圧が下がっている人を”Dipper”、寝ている間の血圧が下がらない人を”Non-dipper”と呼びます。
夜血圧が下がらないNon-dipperはリスクが高い
24時間血圧を測定して、DipperとNon-dipperを分類して、その後の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを検証した研究が多数あります。
その結果、Non-dipperはDipperと比べて2倍近く心血管病のリスクが高いことが示されました。1)
普段は起きている間しか血圧を測ることはないですが、実は眠っている間の血圧が大事だったのです。
降圧薬を寝る前に内服することのメリット
寝ている間の血圧が問題ということが分かるにつれて、寝る前に血圧の薬を飲んだ方がいいのではないかという考えが広まってきました。
夜に降圧薬を飲むことの効果に関しては、効果があったという研究となかったという研究がありなかなか結論が出ませんでした。
しかし、2020年にスペインから約2万人を対象とした大規模な臨床試験の結果が報告されました。
驚くべき研究の成果
高血圧で少なくとも1種類以上の降圧薬を飲んでいる患者19,084人(平均60歳)を対象にして、朝に降圧薬を飲む人と寝る前に降圧薬を飲む人とランダムに割り付けました。平均して6年間追跡したところ次のような結果が得られました。
寝る前に降圧薬を飲んだ群の方が
- 血圧のコントロールが良い
- 心筋梗塞が34%減る
- 脳梗塞が49%減る
- 心不全が42%減る
- 心血管死亡が56%減る
という結果になりました。薬を飲むタイミングだけでこれだけの効果があるとは驚きです。
この研究では少なくとも1種類の降圧薬を夜に飲むという方法を取っていたので、複数血圧を下げる薬を飲んでいる人はその中の1つを寝る前に移動させればOKです。
これだけの効果を示した研究はまだ1つなので、今後の研究の結果にも注目です。
飲み忘れないことも大事
いくら夜に薬を飲んだほうが良いからと言って、飲み忘れが多ければ意味がありません。
普段の生活リズムでどうしても夜だと飲み忘れてしまう人は、朝にきちんと飲みましょう!
まとめ
血圧を下げる薬を朝ではなく寝る前に変えるだけで心筋梗塞や脳梗塞の予防効果が高まるかもしれない!
薬を飲むタイミングは処方箋で指示されていると思います。主治医の意図があって朝に内服の処方をしていることもあるので、内服のタイミングを変えたいときは事前に主治医に相談しましょう。
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