総合診療医が勧める健康になる運動と続ける秘訣5選

運動
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運動の効果

 あなたは普段どれくらい運動をしていますか? 

 人間を早死にさせる生活習慣の第2位が、運動不足と肥満です。1) 日本の研究でも毎年5万人が運動不足により心筋梗塞や脳梗塞を発症して死亡していると推定されています。2) 運動をすることで、血圧が5mmHg 程度下がり、体重や体脂肪率を下げ、そして死亡率も下げることが示されています。3) さらには、運動はアルツハイマー型認知症の発症リスクを下げることや、うつ病や不安の予防、睡眠の改善効果も報告されています。3) このように運動をすることは、血圧が下がる以外にも様々な病気の予防効果があり、健康に長生きするには運動は不可欠です。

運動の効果まとめ
  • 死亡率低下
  • 高血圧予防
  • 糖尿病予防
  • 脂質異常症の予防
  • 癌の予防
  • 認知症予防
  • うつ、不安の予防

効果的な運動の種類

 運動が必要なことは分かったけどどんな運動をすればいいの?という疑問にお答えします。 まず運動は有酸素運動と無酸素運動に分けられます。

有酸素運動と無酸素運動

 体の細胞は呼吸で取り入れた酸素を使ってエネルギーを作っています。激しい運動をして酸素が足りなくなると、酸素を使わない方法でエネルギーを作り出すモードになります。酸素を使わないでエネルギーを作り出すのは効率が悪く、脂肪燃焼効果が少ないので、ダイエットや生活習慣病の予防には有酸素運動の方が有効と言われています。有酸素運動と無酸素運動の差は、呼吸で十分な酸素を取り込みながらできるかどうかの違いです。有酸素運動は、無酸素運動と比べて負荷が少なく比較的長時間続けられる運動を指します。 

有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など 

無酸素運動:短距離走(全力ダッシュ)、ウェイトトレーニング、筋トレ(腕立て伏せ、スクワットなど)

おすすめは有酸素運動

 生活習慣病の心配がある人や体重を落としたい人は有酸素運動から始めることをおすすめします。 普段あまり運動を指定ない人は、特に道具も必要なく無料でできるウォーキングが始めるといいと思います。ゆっくり歩いていても負荷がかからないので、なるべく速歩きで少し息が上がる程度のスピードで歩くようにしましょう。 ウォーキングでは物足りないと感じる人は、ジョギングやサイクリング、水泳に挑戦してみるといいと思います。水泳は、全身の運動になるのでおすすめですが、プールが近くになかったり、冬は寒いのでハードルが高いですね。ジョギングは、靴さえ変えば始められるのでおすすめです。

どれくらい運動をすればいい?

 運動をどれくらいやればいい?という質問はよく患者さんからも聞かれます。「月2回ゴルフをしているので充分?」などと聞かれることもあります。 

運動の強度にもよるのですが、ここではわかりやすく 

1週間で150分(2時間半)以上の運動をしましょう!! 

という目標をおすすめします。 これは1日30分×週5日間でもいいし、週末にまとめて150分でもいいです。それぞれの生活習慣に合わせてこの目標を達成できるように目標を立ててみましょう。

運動を続ける秘訣5選

 運動って「やらなきゃいけないけど・・・」と思いつつ始められない人も多いですよね。私は患者さんたちに運動を勧める立場ですが、自分自身も何度か挫折しています。自分の経験と患者さんの話をもとに運動を続ける秘訣をお伝えしたいと思います。

  1. 無理のない運動から始める
  2. 日常生活に組みこむ
  3. 記録をつける
  4. 仲間をみつける
  5. 大会に申し込む

無理のない運動からはじめる

 「よし明日から運動をしよう!」と思って張り切っていきなり負荷の高い運動をしてしまう人がいます。今まで運動不足だった体でいきなり長距離のジョギングや筋トレなどをすると怪我をする原因になります。膝や腰を痛めてしばらく運動ができなくなり挫折してしまう人も多いです。私自身も久しぶりの運動でいきなり5km走ったら膝を痛めてしまいしばらく運動できなくなった経験があります。また、キツすぎる運動をすると、次また運動をするときの心理的ハードルが高くなってしまい長続きしません。 

 運動を続けることが大切なので、まずは30分のウォーキングなど負荷が低いものから初めて見るといいと思います。やってみて、足腰が痛くなったりしなければ徐々にスピードを早めたり距離を伸ばしたりしましょう。筋トレの場合は、軽く筋肉痛になる程度の負荷がおすすめです。まったく筋肉痛にならない場合には、負荷が足りないかもしれません。

日常生活に組み込む

 「運動しなきゃいけないのは分かっているけど忙しい」と言う人は多いです。多忙な日々の中、1日30分を確保するのも大変ですよね。上で述べたように平日が難しければ、休日にまとめて2時間半の運動をするのでもOKです。しかしせっかくの休みに2時間半も運動するのもまぁまぁハードルが高いですよね。 

 僕がおすすめするのは日常生活の中に運動を組み込むことです。例えば、会社帰りに一駅前で降りて30分歩いて帰るとか、会社のオフィスに上がるのをエレベーターではなく階段を使うとか日常生活の中であえて電車やバス、エレベーターなどを使わずに運動を取り入れることがおすすめです。私は最近は自転車通勤することで、往復で50分程度自転車にのって運動時間を確保しています。自分のオフィスが8階なんですが、1日1階は階段で8階まで上がるようにしています。 わざわざ運動のためだけに時間をとるのが難しい人は、今の生活をちょっと変えて運動を取り入れてみましょう!

記録をつける

 自分がどれくらい運動をしているのか記録をつけるのが継続の秘訣です。記録をつけるメリットは2つあります。1つ目は、単純に自分の運動量を把握することです。運動のための時間をとっている人は、いつ、何分くらい運動したか記録してみましょう。カレンダーでもスマホアプリでもいいです。 

 まだ運動をはじめてない人は、まずは自分が1日何歩くらい歩いているか確認してみるといいと思います。最近のスマホは歩数計の機能がついているでスマホの機能を使うのもいいし、アップルウォッチなどのスマートウォッチを使うのもいいです。正直デバイスは何でもいいので自分の運動量を記録してみるといいです。 僕は、Garminという会社のVivoactive3というスマートウォッチを使っています。また機会があればレビュー記事を書きますが、充電が1週間程度もつのとデザインも普通の時計っぽくできるので気に入っています。後継のVivoactive4も出ていますが、あまり機能は変わりなさそうなので1万円くらい安いVivoactive3でもよいと思います。

 歩数を目安にする場合は、1日1万歩が目標です。在宅ワークなど1日家にいると1000歩もいかなくてびっくりします。まずは普段どれくらい歩いているのかを把握しましょう。 2つ目のメリットは自分の成長を実感できるということです。私は一時期ジョギングをしていたのですが、最初は2km走っただけで息も上がってしまっていました。続けるうちに3km, 4km, 5kmと距離が伸びていったり、走るスピードやタイムが早くなっていきました。これを記録することで自分の成長を感じてやりがいでるので、続けるモチベーショになります。

仲間をみつける

 人間は意思の弱い生き物なので、1人で何かを続けるのは難しいです。家族や友人と一緒に運動すると外的動機と言って、「約束したからやらなきゃ」というプレッシャーがかかります。私の患者さんでも朝ラジオ体操してから30分ウォーキングする仲間がいて、最初は数名だったけど今は10名以上集まって毎日運動を続けている壮です。

大会に申し込む

 これは少しハードルが高い方法かもしれません。私は医師になってから運動する時間がとれず、体重が増えたりとこのままではまずいと思っていました。ジョギングでもしようかと思いましたが、もともと走るのはあまり好きではありませんでした。マラソンを走った友人の話を聞いて一度はフルマラソンに出てみたいと思い、思い切ってマラソン大会にエントリーしてみました。お金を払って大会にエントリーしたので、なんとしても完走しなければと思い、習慣的に走るようになりました。忙しいからとか疲れているからと言い訳をしたくなっても、「今日走らないと本番完走できないぞ!」と思い毎日走るようになりました。記録をつけて徐々に走れるようになったことを実感できたのもあり、4ヶ月くらい週3〜5回のジョギングを続けることができ、無事にフルマラソンを完走できました。大会後は走る習慣が途切れがちになってしまったので、その後も何度か大会にエントリーして過去に3回ほどフルマラソンを完走しました。フルマラソンは結構きついので、ハーフマラソンや10kmの大会もあるのでエントリーして完走を目標に走るのもいいと思います。
マラソン大会を探すにはRUNNETというサイトがおすすめです。

まとめ 

今回は、運動の効果とおすすめの運動方法をご紹介しました。運動は、心身の健康によいし、実際やってみると身体の調子がよくなるのを実感できると思います。まずは、歩くことからでもいいので日々の生活に少しでも運動を取り入れてみましょう!!!

参考文献

  1. We Can Do Better — Improving the Health of the American People
  2. Adult mortality attributable to preventable risk factors for non-communicable diseases and injuries in Japan: A comparative risk assessment.
  3. Long-term health benefits of physical activity–a systematic review of longitudinal studies
  4. The Physical Activity Guidelines for Americans
  5. 健康日本21(身体活動・運動)

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