血圧はいくつに下げたらいいの?【高血圧治療の目標値を徹底解説】

高血圧
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血圧はいくつに下げたらいいの?

 血圧が高いと言われて治療している人はたくさんいますが、自分の血圧の目標値を知っていますか?

 ちゃんと主治医から目標値を言われて分かっている人と、あまり目標値を意識していない人がいるので今回は高血圧治療の目標値について解説していきます。

 結論から言うと

多くの人の目標値は、130/80mmHg未満でよい(家の血圧なら125/75mmHg)

ただし、年齢や他に併せ持っている病気により目標は異なるのでそのあたりを詳しく解説していくので最後までお読みください!

血圧の目標値の分類

診察室血圧家庭血圧
75歳未満の人
130/80mmHg125/75mmHg
75歳以上
脳梗塞後の患者の一部
140/90mmHg135/85mmHg

 実は血圧の目標値については多くの研究結果があり、議論が尽きずガイドラインが改定されるたびに修正されていっています。細かいことを言うときりがないのですが、日本のガイドラインでは上の表のように年齢(75歳以上)と診察室の血圧なのか家で測った血圧なのかで目標値を分けています。

家の血圧と病院での血圧どっちが大事?

 家で測る血圧と病院で測る血圧に違いがある人は多いです。

「どっちが本当?」とよく聞かれますが、結論から言うと「家の血圧」の方が大事です。

 ガイドラインによると家での血圧の方が、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管病と関連が強いと報告されているので病院での血圧よりも自宅で測った血圧を優先して指標とするように記載されています。

 ただし、家庭血圧の場合は、病院での血圧よりも5mmHg低い基準値とするように推奨されています。

 病院では高血圧だけど、家の血圧が低いひとを「白衣高血圧」と呼びます。家での血圧と病院での血圧にあまりにも差がある人は、血圧の測り方が正しいか確認しましょう。詳しくは、この記事で解説しているので、参照ください。

血圧を下げすぎるとどうなる?

 血圧を下げる薬を飲んでいる人で血圧が下がりすぎることを心配している人もいるのではないでしょうか。

 一般に上の血圧が120mmHg未満まで安定して下がっている場合は、薬を減量することが多いです。

 120mmHgを切ったらすぐに何が起こるわけではありませんが、血圧が下がりすぎると立ちくらみやめまいがする場合があります。

 血圧の薬を飲んでいる人で立ちくらみやめまいがする場合は、その症状がある時の血圧を測ってみてください。その上でその血圧を主治医に見せて、立ちくらみと血圧が関係ありそうか判断してもらってください。

 また、脳梗塞を起こした人の中で首の動脈(頸動脈)や脳の中の主な動脈がとても細くなっていることが分かっている人は血圧を下げすぎると脳に充分な血液が回らなくなる危険性があるので血圧をあまり下げすぎないようにします。具体的には、血圧の目標を10mmHg程度上げて140/90mmHgを目標にします。

血圧を低めにした方がいい人

 120mmHgを切ったら薬を減らすことが多いと書きましたが、敢えて120mmHg未満を目指した方がいい人もいます。

 例えば、大動脈瘤があって破裂の恐れがある人は、血管へ掛かる力を抑えるために血圧を低めに保ちます。他にも心臓が悪い人は、心臓の負担をとるために血圧を低めにすることもあります。

SPRINT研究

 2015年に発表されたSRPINT試験という高血圧の治療に関する臨床研究の結果、血圧を低めにコントロールすることのメリットが示されました。2)

 この研究では、血圧を120未満にコントロールする群と140未満にコントロールする群で、実際に心筋梗塞や脳梗塞などの心血管病がどちらが予防できるか比較しました。

 結果として、血圧を120未満にコントロールした群の方が、心筋梗塞、脳梗塞、心不全または心血管病で死亡するリスクが低いということが示されました。

 ただし、この研究に参加していたのは50歳以上で心筋梗塞になったことがある人や腎臓が悪い人など心血管病のリスクがとても高い人だけを対象としています。

 この研究の結果を元に血圧の目標を120未満にする場合もありますが、血圧を120未満にすることのメリットを示した研究は少ないので2019年のガイドラインでも120未満を一律に目指すべきではないと推奨されています。

主治医に確認を

 ここまで血圧の目標についていろいろと解説してきました。ここまで解説した目標値はあくまで一般論です。

 実際には、あなたの持病や症状などに合わせて個別に目標の血圧を決める必要があるので、自分の血圧の目標値を主治医に確認してみましょう。

 決して自分で目標値を判断して、薬を自己調節しないようにしてください。

参考文献 

  1. 高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)
  2. A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control

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